都会の便利な生活を手放し、山梨の森で薪を割る日々。
憧れの田舎暮らしは、実はスローライフとは真逆の「超ハードライフ」でした。
畑仕事に挫折した失敗談や、
電気も水道もないご近所さんからの衝撃的な学びを通して
完璧じゃなくてもいい
「自然体な暮らし」
の手がかりを綴ります。
都会にいてもできる、心と体を整える手仕事とは?
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発酵食品を手作り、田舎暮らしを実践している椿留美子です。
東京から家族で移住、のんびり・・と思いきや、全く忙しい!
全然スローライフじゃないよ〜、と思いながらあたふたしています。
田舎暮らしの知恵と奥深さをお伝えしたいと
東京と田舎を行ったり来たりしながら発酵教室を開催しています。
毎朝メールより音声配信をしています。
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都会の便利さを手放して、あえて不便な山の中へ
指先ひとつで何でも揃う生活への「小さな不安」
かつて私は東京に住んで、ずっとお芝居をやっていました。
マンションに住んで、指先ひとつで何でもポチッと買える生活。
食べ物もすぐに買いに行けるし、誰かが作ってくれた便利なシステムに完全に乗っかって生きていたんですよね。
でもふとした瞬間に怖くなることがありました。
「もしこのシステムが突然止まったら、私一人で、あるいは家族と一緒に生き延びられるのかな」って。
通常はあまり気にしないのですが、ふとそんなことがよぎることがありました。
そして移住を決意して、山の中へ家族と引っ越しました。
今考えるとよくやったなあ・・・と思います。小学生の子供たちを連れて。

あえて不便な、もう超がつくほど不便な山の中での暮らしを選んで、こちらに来てから丸16年。
今度17年目に入ろうとしています。
移住して最初に取り組んだのが、薪割りでした。
今はもう夫に任せちゃっているんですけど、最初の頃は本当に薪を集めるのすら手探りで大変だったんです(苦笑)
先輩方にコツを教えてもらいながら、薪集め。
見よう見まねで斧を振るって、電気チェーンソーの使い方も覚えてガンガン切っていました。
午前中はひたすら薪を切ったり割ったりして、午後から自分の仕事をする。
そんな毎日を繰り返していると、家の横に薪がどんどん積み上がっていくんです。
その薪の山を見たときの嬉しさと安心感ったらありません。
「ああ、今年もちゃんと冬が越せるな」
って笑。
自分たちの力で生きる土台を作っている実感がそこにはありました。
薪割りで知った「生きる手応え」と感動
狙い通りに「パカーン!」と割れた瞬間の気持ちよさ

最初はもちろん斧の使い方も下手くそで、全然うまく割れなかったんですよ(笑)
でも毎日やっていると、だんだん体がコツを覚えてくるんです。
斧を振り下ろす角度や、木目を見る目、力を入れるタイミング。
それがピタッと合わさって、狙ったところに斧が入り、本当に「パカーン!」と綺麗に真っ二つに割れた瞬間があるんです。
あのときの感動と気持ちよさは、ちょっと言葉では言い表せないくらいで。
自分の手と体を使って、自然の素材と向き合う。
狙った通りに割れたんだっていうその手応えは、都会の便利な生活では決して味わえないものでした。
私は移住してからの自分のテーマを
「暮らしに時間をかける」
としています。
薪を割り、畑を耕し、自分の手で何かを生み出しながら、環境と循環して生きていく。
それは効率とは全くの真逆の行為ですよね。
よく「田舎に行ったらスローライフですね」なんて言われますけど、
スローライフどころか本当にハードライフで忙しいんです(!)
でもその忙しさは、ただ時間に追われるのとは違って、手を動かすことで五感がすごく研ぎ澄まされていく感覚なんです。
便利さは人に依存を生むけれど、不便さは生きる知恵と自由を生み出してくれます。

畑の草むしりに挫折して、スッキリした日
完璧じゃなくていい。「今はその時じゃない」という潔い決心
そうやって偉そうなことを言っていますが、じゃあ私がちゃんと全部やれているかっていうと、全然そんなことないんですよ(笑)
「そういう暮らし素敵ですね」とか
「やりたいけど勇気がないから、実践していてすごいです」
なんて憧れていただくこともあるんですけど、実は全然できていないことだらけで。
移住当初から7、8年くらいはずっと畑もやって、いろんな野菜を育てていました。
それも私にとっての大事な暮らしのひとつだったんです。
自分たちの育てた野菜で生活できるなんて、すごいことじゃないですか !
当時はほぼ買わなくても野菜は野菜は自給できていました^ ^

でも日々の仕事や生活がどんどん忙しくなっていって、どうしても畑のお世話に手が回らなくなってしまいました。
ある日、久しぶりに畑を見に行ったら、雑草が私の背丈よりも高く伸びきっていたんです。
普通ならここで「ああ、どうしよう」って落ち込むのかもしれません。
でも私はその草のジャングルを見た瞬間、すごく潔く決心がついてしまったんです。
「あ、私は今これをやる時じゃないんだ」って。
周りの畑をやっている方にも迷惑をかけてしまうし、
無理して抱え込むのはやめようって思えたんですよね。
ほっとしたというよりは「よし、今は自分の仕事にしっかり向かうぞ!」って、不思議と腹が据わってスッキリしました。
田舎暮らしって、こうやって失敗したり挫折したりすることの連続なんです。
でもそれでいいと思っていて。
完璧じゃなくてもいいし、全部を一人で抱え込む必要もないんですよね。
衝撃的だった「電気も水道もない暮らし」
「本当に天然酵母?」と疑われた天然酵母の食パン
田舎暮らしを始めて、私の価値観を根底から覆すような衝撃的な出会いもありました。
ご近所に住んでいたシングルマザーの女性は、小さなお子さんを3人育てながら、なんとガスと水道を繋がずに生活されていたんです。
最近になって水道は引いたとおっしゃっていましたが、お母さん一人で薪を割って日々の生活を回しているその力強さに、本当に圧倒されました。
さらにその方から紹介していただいて、長野の山奥に住んでいるご夫婦にもお会いしました。
その方たちは、電気も水道もガスも一切繋いでいなかったんです。
自分たちで家を建てて、水は山へ汲みに行き、夜はランプの灯りで過ごす。
薪割りはもちろん、食事は囲炉裏で作って、私にも最高のご馳走を振る舞ってくださいました。

もう「ガーン!」と頭を殴られたような衝撃で、
ああ、人間ってこんな風に暮らしていけるんだって、ただただ感動してしまって。
その時、お礼に私が焼いた天然酵母の食パンをプレゼントしたんです。
そうしたらお二人がすごくびっくりされて。
「天然酵母でこんなに柔らかくできるの??」
って、びっくりされました(笑)
私がパン作りの専門家として、天然酵母でもいかに柔らかくて食べやすいパンを作るかっていう研究をしてきた成果なんですけど、自己流でやるとどうしても硬いパンになりがちだから、その柔らかさに心底驚いて、そしてすごく喜んでくださったんです。
彼らの究極の自然な暮らしと、私が実験を重ねてきたパン作りが交差した
本当に忘れられない日でした。

都会にいてもできる、手を動かす「発酵暮らし」
スマホを置いて、一緒に泥臭い実験を楽しみませんか?

こういうお話をすると「田舎に行かないとそんな暮らしはできないんじゃないか」と思われるかもしれません。
でも、決してそんなことはないんです。
都会を離れる必要なんて全くありません。
1日のうち少しの時間でもいいから、スマホをポンと置いて、自分の手を動かして何かを醸す時間を作ってみてください。(私もなかなか出来ませんが)
お味噌を仕込んでみるとか、パンの生地をこねてみるとか。
菌と向き合って、手から伝わる温度や匂いを感じる。
それだけでも、暮らしの軸みたいなものがスッと整っていくのがわかるはずです。

私がやっている自家製酵母作りも、薪割りも、本質は同じなんですね。
自然との循環の中で、自分の手で人生をつかみ取っていくような感覚。
私もまだまだ発展途上ですし、やりたいことはたくさんあるのに追いついていないことばかりです。
でもだからこそ、皆さんと一緒にこの
「暮らしの人体実験」
を続けていきたいなって思っています。
東京でのレッスンと山梨の森とを行き来しながら、少しずつ時間をかけたものを味わって、暮らしを豊かにしていく。
先日もお醤油の仕込みが始まって、都会からたくさんの方がこの山梨まで足を運んで体験しに来てくれました。


ストイックに無理をして苦しくなるんじゃなくて、都会の良さも田舎の良さも、自分なりに楽しく選んでいく。
そんな風に、一緒に泥臭く挑戦してくれる仲間をもっと増やしていきたいです。
プロのパン講座でも、発酵暮らしサロンでも、私のこの根底にある想いはおんなじです。
サロンの仲間を2026年春に募集予定です。
ぜひメルマガをチェックしておいてくださいね。
今日の私の失敗談や泥臭いエピソードが、
あなたの暮らしの中で少しでも「あ、そういうやり方もあるんだな」って
心が軽くなるヒントになれば嬉しいです。
どんな1日も元気に、手作りの暮らしを楽しんでいきましょう!




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