醤油は、海の中で育つ——「海中熟成しょうゆ」に教わった、発酵と「場所」の話

お醤油

和歌山の湯浅醤油さんが、

「海中熟成しょうゆ」

という商品を数量限定で発売しました。

 

醤油瓶のふたをロウで密閉して、海の中で熟成させる。

そんな少し不思議な商品のニュースから、

発酵と「場所」の関係について考えたことを綴ります。

 

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発酵食品を手作り、田舎暮らしを実践している椿留美子です。

東京から家族で移住、のんびり・・と思いきや、全く忙しい!

全然スローライフじゃないよ〜、と思いながらあたふたしています。

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醤油は、海の中で育つ——「海中熟成しょうゆ」に教わった、発酵と「場所」の話

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海の中で育つ、不思議な醤油

 

湯浅醤油「海中熟成しょうゆ」とは

湯浅醤油は、1881年創業の「丸新本家」という蔵の醤油部門だそうです。

醤油瓶のふたをロウで密閉して、湯浅湾の海の中、水深10メートルほどのところで熟成させる。

樽での熟成と、海の中での熟成を組み合わせた商品なのだそうです。

海の中から引き揚げると、瓶には貝やサンゴが付着していて、

一本一本まったく同じものがない、唯一無二の姿になっているといいます。

 

価格は200mlで5,346円、255本限定での発売でした。

SNSでの再生回数は1,200万回を超え、海外からも驚きの声が届いているのだとか!

湯浅醤油「海中熟成しょうゆ」はこちら 

 

 

 

一定の温度と、海底の揺らぎが生む深み

なぜわざわざ海の中で熟成させるのか。

調べてみると、海底のわずかな揺らぎと、一定の温度環境が、味に深みとまろやかさを与えるのだそうです。

人の手ではコントロールしきれない自然の環境が、静かに味を育てていく。

そう考えると、発酵というのは、人がすべてを管理する作業ではなく、

環境に委ねる部分がとても大きいのだと、あらためて感じます。

 

 

発酵は、時間だけでなく場所も育てる

 

味噌が蔵によって味を変える理由

味噌も、蔵によって味が変わります。

蔵の柱や壁に長い時間をかけて棲みついた菌が、その蔵ならではの味を作っているからです。

この「蔵付き菌」については、以前の記事にも詳しく書きました。

蔵付き酵母とは?——家庭の台所にも菌は育つという話 

 

同じ作り方でも、場所によって違う味を生む。

海の中という、ここまで特殊な環境で熟成させると聞いたのは初めてでしたが、

場所の違いがこれほどまで味を変えるものかと、あらためて驚かされました。

 

自然に委ねる発酵と、管理された発酵の違い

今は、機械で温度を調整し、早く熟成させて市場に出す発酵食品の商品化が、当たり前のように行われています。

 

一方で、自然の四季の中で温度が移り変わるままに熟成させていく作り方もあります。

管理せず、委ねる。

その分、仕上がりを完全にコントロールすることはできません。

でも、その年、その場所にしかない味が生まれます。

海の中という一定の温度環境は、その両方の性質を併せ持つ、貴重な存在なのかもしれません。

 

 

同じ材料なのに、なぜ味わいが変わるのか——山梨のお醤油仕込み

 

4つのチーム、同じ材料でも全く違う味に

実は、この「場所によって味が変わる」という話に、

まさに今、私自身も心当たりがあります。

 

山梨では、毎年同じ時期にお醤油を仕込んでいる仲間のチームが4つほどあります。

以前は同じ材料、同じ麹を使って、同じように天地返しをしていました。

それなのに、仕上がる味わいが、その場所その場所で全然違ったのです。

 

天地返しのやり方や、置いている環境によって、

こんなにも味が変わってくるのかと、毎年驚かされています。

深みが出るチームもあれば、熟成が少しゆっくりなチームもあり、

それぞれの個性を味比べするのも、毎年の楽しみのひとつになっています。

 

今年初めての白州、天地返しの報告

 

そして今年は、初めて白州のアトリエでもお醤油を仕込んでいます。

どんな味わいに育つのか、私自身も、仲間たちもとても楽しみにしています。

 

先日、サロンメンバーさんが山梨まで天地返しに来てくださいました。

表面は濃い茶色にしっかり固まっていて、もったりして、お醤油のいい香りがしたとのこと。

 

 

雨の中の作業で大変だったと思いますが、無事に終えることができました。

おいしいお醤油に、着実に育ってくれている感じがします。

 

 

数に限りがあるからこそ、伝わる物語

255本限定という数字にも、少し考えさせられました。

たくさん作って売ることを目指せば、海に沈めて熟成させるという方法は、効率的とは言えません。

それでも、あえてその手間と時間をかけることで、他にはない物語が生まれています。

貝やサンゴがついた瓶は、一本ごとに表情が違う。

同じものが二つとないというのは、手仕事にも通じるところがあります。

 

 

私たちが仕込むお味噌やお醤油も、大量生産はできません。

その分、仕込んだ人や場所の個性が、そのまま味になって表れます。

効率では測れない価値が、そこにはあるのだと思います。

 

海の中で育つ醤油と、山梨や白州で育つ私たちの醤油。

どちらも、遠くから見れば地味な、静かな時間の積み重ねです。

でもその静けさの中にこそ、誰にも真似できない味が育っているのだと思います。

 

 

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発酵教室では伝統食、保存食を中心に昔ながらの知恵を楽しく作っていくレッスンを行っています。

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みんな伝統食で保存食ですね。

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