蔵付き酵母とは何か。
目に見えない菌が発酵食の味を決める仕組みと、
家庭の台所にも菌が育つという話をお伝えします。
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発酵食品を手作り、田舎暮らしを実践している椿留美子です。
東京から家族で移住、のんびり・・と思いきや、全く忙しい!
全然スローライフじゃないよ〜、と思いながらあたふたしています。
田舎暮らしの知恵と奥深さをお伝えしたいと
東京と田舎を行ったり来たりしながら発酵教室を開催しています。
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蔵付き酵母とは?——家庭の台所にも菌は育つという話
目には見えないけれど、確かにそこにいる。
発酵に関わる菌は、そんな存在です。
目に見えないのに、確かにそこにいる菌

果物を水につけただけで、シュワシュワ発泡する不思議
自家製酵母を初めて起こしたとき、果物を水につけただけで
シュワシュワと発泡してくることが不思議でしかたありませんでした。
目に見えない菌が、確かにそこにいる。
それを実際に感じられた瞬間でした。
その液体で、パンが膨らむという衝撃
ただの水では膨らまないのに、発泡したその液体では、パンがちゃんと膨らんでいきます。
自然の力はすごいと、そのときあらためて思いました。
発酵食を作るとは、空気中の菌を迎え入れること
発酵食を作るというのは、菌を培養して増やしていくというだけではありません。空気中にある浮遊菌も、一緒に使っていきます。
時間をかけて、その空間に菌が住み着いていく

新しい場所で発酵を始めると、最初はなかなかうまくいかないことがあります。
清潔にしすぎている環境では、菌にとっても住みにくいのかもしれません。
時間をかけて、その空間に発酵に関わる菌が住み着いていくことで、
だんだんとうまくいくようになると言われています。
新しい場所で発酵を始めるときは、まず菌を迎え入れる時間が必要なのだと思います。
蔵付き酵母——同じレシピでも、蔵が違えば味が変わる理由

*写真はウィスキーの醸造庫
柱や道具に、何十年、何百年と住み着いた菌
味噌蔵や醤油の醸造元には、「蔵付き酵母」と呼ばれるものがあります。
柱や壁、道具の一つひとつに、何十年、何百年という時間をかけて
菌が住み着いていて、それがそのお蔵ならではの味を作っています。
同じレシピ、同じ材料で仕込んでも、蔵が違えば味が変わります。
目に見えない菌たちが、その場所ごとに違う顔ぶれで住みついているからだと言われています。
これは、大きな蔵だけの話ではないと思っています。
私たちの家庭のキッチンにも、同じことが起きています!
家庭のキッチンにも、その家ならではの菌が育つ

同じレシピでも、キッチンによって違う酵母が育つ
糠床を長く育てている方、毎年味噌を仕込んでいる方の台所には、
その家ならではの菌が少しずつ育っていきます。
同じレシピをお伝えしても、キッチンによって全然違う酵母が育つ。
これは、蔵付き酵母と同じ仕組みが、私たちの暮らしの中でも起きているということです。
毎年1月に開催している味噌のワークショップでは、
去年仕込んだ味噌を持ち寄って、味比べをしています。
同じように仕込んだはずなのに、味が違う。それがまた、楽しいひとときになっています。

自分の家にも、少しずつ菌が育っていく。
そう思うと、台所に立つ時間が、また少し愛おしく感じられますね。

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